ひであ観察日誌

ひであの観察日誌です。自転車やペンギン、同人サークル「春うらら」の告知もこちらでおこないます。

恩賜上野動物園 「大人のための一日飼育体験」

恩賜上野動物園の「大人のための一日飼育体験」!!
どこかのブログ *1 で,紹介されていて応募。
毎年2月に募集していて競争倍率も結構高いらしいのですが,そんなことは露知らず,なんの気無しに申し込んだらビギナーズラックで当選してしまいました (^^;)
そんなわけで,ペンギン担当になったらいいな〜と思いつつ,動物は全般的に好きなのであんまり贅沢は言わないようにしようと思いながらも 3/4(日)の早朝,上野公園へ向かいました。


朝8時,上野動物園は正門で集合。
上野動物園の開園時間は,午前9時半から午後5時まで。
当選ハガキには,終了時刻は午後5時頃とあるので,ほとんど営業時間フルで飼育を体験することになります。 *2


正門の脇にある従業員用の通用門から園内に入って受付。
さっそく名札を受け取ると,そこには「所属:西園」の文字が orz *3
見事,しょっぱなから日頃の行いが露見する事態になりました。
これでテンションが 5%程ダウン。でもまあ,既にテンション120%状態だったので,まだ115%キープです(笑)



全員が揃って,まわりを見渡してみると21名,女性の方が男性の倍くらいか。
もう一日,火曜日の当選数はわかりませんが,総当選数は 40〜50名くらいなんじゃないかと思います。


上野動物園の責任者の方の簡単な挨拶が済むと,さっそく西園(西園,こども動物園担当),東園に別れてそれぞれの事務所へ移動です。
西園の我々は,ぐるっと上野動物園を横断する形で,池之端門近くにある西園事務所へ。


そういえば,そこまでの道中,西園に入ってからケープペンギンを発見!
実は西園にはいるのは初めてだったりするのですが *4,こちらにもペンギンがいるとは知りませんでした。
…ということは,まだ希望が潰えたわけではないと無謀な期待を抱いてみたり。



さて,事務所に着くと,それぞれの担当の割り振りが知らされました。
それぞれの担当と言いましたが,元々,どういった形でこの「一日飼育」を体験することになるのかは,知らされていなかったのでまったく謎。
当選ハガキにも,「担当動物は当日お知らせします」としか書かれていません。
その担当ですが,西園担当の7名は,それぞれバラバラにほとんど担当飼育員1名に体験者1人付くような形で割り振られました。
僕ともう一人は,小獣担当に。
小獣は,小獣館+アイアイやカンガルーが展示されている区画。
このままそれぞれが分かれて作業,解散もそれぞれ担当毎になるようです。


さて,西園の責任者の方から,急いで着替えをするよう指示が。
こうしている間にも,開園の時間は,刻々と迫っています。
飼育員の皆さんも,みな,そろそろ開園前の作業をはじめなければいけないようです。


僕を含めた小獣に割り当てられた二人は,担当の飼育員の方について,小獣館裏にあるバックヤードへ。
小獣は,最大4名で担当しているらしいのですが,今日は2名休んでいて飼育員は2名。
…ということは,2飼育員+2素人で,4名の仕事をしなければいけないのか? と思ったらそういうわけでも無く,4名揃うことの方が珍しいそうで,どちらかというと 2名や 3名で仕事をすることが多いそうです。
いない方の担当分は,それぞれ残りの2名で分担とのこと。



まずは,担当動物を見回りついでに一通り見せてもらうことに。
ナマケモノ,ツチブタにキツネザル,アイアイ,カンガルーにヤマアラシとかがいる一区画をぐるっとまわった後,小獣館に移って1Fを見回ろうとすると,ここで不幸の報せが。
名前を忘れてしまいましたが,ネズミ系の個体が幸薄く亡くなっていたようです。
後で箱から取り出して,袋に入れて記録。亡くなった個体は全て,解剖に回されるとのこと。


気を取り直して,残りの地上部分,そして夜行性の動物が観察できるようになっている地下へ。
この地下は,開園時にはライトが消えて夜の様相になるのですが,この時はまだライトがついて,曙の頃といった所。
明るい中,思い思いの場所でくるまって寝ている動物達がいました。


一通り見回った後,餌の集積場?まで,今日の分の餌を分捕りに。
ニンジン,卵にパン,芋,みかん,リンゴにバナナ。鶏頭に馬肉。
鶏頭はともかく,なんで馬肉なんだろうと聞くと,単純に安いからなんだそうです。
日頃,馬肉なんて馬刺しくらいでしか食う機会が無かったから知らなかったけど,そうか安いんだ…
肉の冷蔵庫の一角に,「ペンギン」と書かれたアジの箱が積まれていたのに目がいってしまうのは仕方がないですよね(笑)
あとそうそう,冷凍のイナゴも一袋追加,中国産でした。


餌にはもうひとつ一大勢力?があって,それはワーム。
段ボールいっぱいの小さいミルワームと,プラスチックのボトルに入った大きめのジャイアントミルワームの2種類。
それぞれ,コメノゴミムシダマシ,オオゴミムシダマシの幼虫です。
写真にも写っていますが,人参にイカの甲,パン,魚の煮干しと彼らの餌も結構豪華。
与える動物によって,その餌を変えることもあるらしく,アイアイ用にとオートミールを餌にしているケースが別にありました。
うじゃうじゃいる箱に耳を近づけると,わさわさわさと幼虫同士が擦れる音が…
なんかちょっと聞き入ってしまってました (^^;)



戻って来たら,次はそれぞれの担当動物の掃除です。
時間的にはそろそろ開園の時刻なのですが,西園は,東園と違って正門からも離れているため,お客さんで混み始めるのは昼過ぎから。
比較的時間に余裕があるそうです。


で,でも…確かにお客さんは少ないものの,皆無ってわけではなく,掃除をしているとガラスの向こうにはお客さんがいることも。
「わー,××がいるよ〜」
と子供がはしゃぐ声が聞こえる中,黙々と掃除をしていると,なんだかこちらが展示動物になった気分に(笑)


掃除,=基本的にはフン&散らかった餌の食べかすの回収です。
寝所と表が分かれている動物達は,寝ている動物を叩き起こして表に出してから寝床を掃除。
そうでない動物は,おじゃましますと檻に入って箒でお掃除でした。


んじゃ,担当動物をいくつか紹介。

オリイオオコウモリ

コウモリは,食べ物を咬んで口に含んで液体だけ吸い,繊維質は吐き出すので地面はかなり汚れてます。
それを朝の掃除で掃いて水で流して奇麗にします。
頭のそばで,ギィギィコウモリが鳴いているのが聞こえてます。
ちなみに彼らオオコウモリは,超音波ではなく目視で視ているので,活動時期は夕暮れや早朝,真っ暗になると逆に動かないそうです。
バードハウスの方に放されているコウモリは,飛び回っているようですが,こちらのオオコウモリは自由に飛び回れるほど広くないからか,木の枝を手と脚で器用に伝っている様は,なんとなく猿のようにもみえました(笑)

コモンツパイ

子育て中で神経質な為,掃除はせず,小窓から水と餌だけを交換。

カンガルー

一匹がいま,動物病院に入っているそうで,いまは一匹だけ。
ちょっと寂しい。
てづからパンをあげようとしたら逃げられました (^^;)


ホフマンナマケモノ

朝入ると,暖を取って2匹で寄り添って名に恥じぬ怠けモノっぷり。
思ったよりゴワゴワの毛の上から体を触っても,微塵とも動じません。
水も,一杯入っている内は直接口から飲むものの,少なくなって来ると指を浸してその濡れた指を口で舐める。
なんだか優雅。
外が暖かくなって綱を渡って出て行く時は,案外機敏に渡っていきますが,なにを思ったかふと途中で止まると「おーい,寝てませんか〜?」と聞きたくなるくらいしばらく動かない。
なんにしても見た目通り,知っているそのままの奴らでした。


昼休みに偶然撮れた,鑑外の木に散歩に出るナマケモノ。

ツチブタ

ツチブタは豚じゃない。
管歯目という分類で,管状でブラシのように集まった歯をしているらしい。
らしいというのは,ずっとうずくまって寝てたから確認のしようがなかったです(笑)
でも,固くて丈夫そうなツメは確認しました。
ナマケモノと同じ檻なのですが,檻内には一面に土が盛られています。
実はこの土,全部このツチブタが入れた土なんだそうです。
50cm以上の起伏があるくらいなので,量は結構多め,既に僕が乗っても崩れないくらいにカチンコチンに固くなっていますが,それを平気で掘っちゃうくらいの掘削能力を持っているそうです。
表の地面の下には金網が埋められているそうですが,以前,その金網を破って一晩で隣の檻まで穴を掘っちゃったことがあるそうで,捕まえるのに苦労したそうです。
でも、基本的には夜行性なので,餌の時以外ずっと中で寝てた…

ハイイロジェントルキツネザル

アイアイとナマケモノの間にいる,竹が主食で柔らかそうな毛並みのお猿さん。
実際には,竹以外にも結構いろんな餌が追加で与えられてました。
5匹が仲良く固まっているなぁ,と思って聞くとみんな親子の家族とのことで納得。

アイアイ

展示の前を通る子供達の三分の一くらいは「例の唄」を口ずさみながら覗いていくアイアイ。
こいつは鋭い歯で硬い木の実に穴を空け,長い指でその中身を取り出して食べます。



ただこれ,固い殻を持った木の実だけならいざ知らず,胡瓜や金柑,普通の蜜柑の中の房の薄皮まで残して,餌という餌の中身だけを食べる徹底っぷり。
汚れていない中身だけを食べる生活の知恵なのか,それともただの偏食なのか?
そういえば,アイアイは知らない人間には向かってくる習性があるそうで,ヘルプで入った飼育員が怪我をしたこともあるらしく,起きている親アイアイの部屋は外から覗くだけ,子アイアイは寝ているのを確認してからそっと入って掃除をしました。

ヤブツカツクリ

キジの仲間だそうです。
そう言われると,なんとなく風貌がキジっぽい。
ツカツクリの名の通り、ど真ん中に直径3mほどのうず高い塚を作っていました。
その中に卵を生み発酵熱で温めて孵すそうです。
足で後ろに蹴って枯葉などを集めるのですが,その勢いは塚の端から端まで欠片が飛ぶほど。
卵を確認するために塚を掘った時には,さんざん枯葉をかけられたそうです。


正午を過ぎた所でお昼休み。
1時過ぎに戻って来るようにと言われたので,不忍池の畔のベンチでのんびりお弁当。
残り時間は,ケープペンギンを激写したり,担当動物をちょこちょこ録ってたりw



午後は,餌を作って餌やり。
小獣館の動物達の餌は,バナナに蜜柑,リンゴ,芋,人参,別に煮人参や煮芋などをそれぞれ1cm角に刻んで混ぜ合わせた共通餌をベースに,各動物毎に,イナゴやワーム,この日はありませんでしたが,コオロギなんかもトッピング,猫なんかの肉食の動物には鶏頭に馬肉が用意されていました。
細々と動物が多いので,その分,餌皿も多く,台所?いっぱいに並べられた餌皿に,それぞれどの皿がどの動物かちゃんとわかっていてテキパキと振り分けていきます。


各動物には,2時,2時半,3時等々,展示に告知されている時刻があって,それに合わせて出していく。
僕なんかも,動物園,水族館へペンギンを観に行く時には給餌の時間を狙っていきますが,この時は,それまでぐっすり寝ている動物達も我先にと餌を啄みに来るので見るのにはうってつけ。
もちろんそれを狙って待っているお客さんも多く,給餌をする側も,待たせちゃいけないと時間が迫るとちょっと慌てて給餌に向かったりしていました。

コビトマングース

他と合わせて餌をやるときには,ワームをひとつかみ散らすだけ。
この日は午後3時から,卵割りのデモンストレーション。
紙芝居のようにケージの中で,説明をした後,生卵とゆで卵を3個ずつ床に置いて退出すると,さっそくマングースたちが群がって卵を抱え,後ろにけり出して木の幹にぶち当てて割って食べていました。
午前の掃除の時に,この割った卵の殻を掃いていたのですが,細かい殻を奇麗に掃くのはちょっと無理 (^^;)

ワタボウシタマリン

頭に綿帽子のような飾り毛があるちいさな猿。
バックヤードのケージに1匹いたので,どうしたんだろうと思ったら他の個体達と折り合いが悪く苛められていたので離してあるとのこと。
そういえば,展示中の個体達からも,なにやら険悪な声が聞こえてました。
どうやらさらに他の1匹の,折り合いが悪い様子。

タテガミヤマアラシ

開園までは中で,開園後は外の小屋の中でずっと寝てました。
食事時以外ずっと寝てたけど、いつもだと食事時以降は起きていることが多いらしいです。
食事は,人参やら芋やらがまるごと(笑)


トビウサギ

バックヤードにいました。
足の形から,カンガルーの仲間? ウサギの仲間? と思ったら齧歯目らしい。
ずっと寝ていて,給餌の時に起きた直後,パンを手づから渡してみたら,寝起きで寝ぼけた状態で掴んだパンをもくもくと口に運んでました。
か,かわいぃ…

アルマジロ

アルマジロのはなちゃん…だったかな、かたい、まるい、歩くと爪の音でカチカチ音がする。
ダッシュで走り始めると、これが結構速い!


http://youtube.com/watch?v=eHEiOKbJfoQ

むささび

むささびのそらちゃん。
人工飼育とのことで、かなり人になれている。ただ、そのせいからか、他の野生の個体達からは、ちょっと浮いているらしい。
終盤に空いた時間,ひとしきり触れ合わせて貰いました。


http://youtube.com/watch?v=XBptU2KJd7o

お世話になった飼育員の方

TokyoZooのサイトの映像に,お世話になった飼育員の方が映っていたのでリンクします。



給餌が一通り終わった後,明日の餌を用意。
前記の共通餌をひたすらバケツに一杯刻んだり,冷凍の肉を冷蔵庫に移して解凍したり,蜜柑の皮をむいたりしていると,そろそろ終わりの時刻です。



おまけ1 いつの間にか増えているそうです。



おまけ2 あんまし痛くなかったです。


事務所まで戻って着替え,ちょうど同じ時刻に終わった他の班のみんなで軽トラに積まれて正門まで。
無事,一日飼育体験が終了しました!



決して,当初希望した担当動物ではありませんでしたが,充実した一日を送ることが出来ました。
近いうちにもう一度,上野動物園を,お世話になった飼育員の方に挨拶しに訪ねたいです。
また,参加したいな〜♪
でも実はこの飼育体験,過去3年間当選した人は応募できません。
次に僕が応募できるのは、2011年… orz
絶対,忘れずに応募してやる!!!


それにしても,長靴で往復したのははちょっと失敗でした。
ただでさえ立っていると足の裏が痛くなる体質なのに,ソールが薄いせいで,余計に歩いているとかなり足が痛い (^^;)
ナイキ辺りから,エアー長靴とか出てたら欲しいくらいです。
まあ,次に長靴なんて履くのはいつのことになるやらですがw


あと,写真に偏りがあるのは,午後に時間が空くまで写真なんて撮ってる暇がなかったからでしたw
次に上野動物園に行った時にでも,補完しよう〜

*1:改めて探してみたのですが,いっこうに見付からず。どこだったか本気で失念…

*2:帰り際に聞くと,飼育員の方は午後6時くらいまで働いているとのこと

*3:キングペンギン等は東園

*4:いつも東園をまわっている間に閉園時間になる (^^;