47氏の逮捕から2週間。
なんだかいまだに不可解な拘留が続いているようですが,ある程度時間が経って自分としての考えにもまとまりを感じているので,「ここ」辺りへのコメントという意味も含めて簡単に雑感を。*1
なんだかんだ言って,今回の「著作権法違反幇助」という容疑での逮捕は,間違っていると思っています。
どうにでも使える道具を世に送り出しただけで,その道具を悪用した罪の幇助として法に問われるのは行き過ぎでしょう。
よく引き合いに出される包丁ネタは,ちょっと極端すぎますし,アメリカで言う銃の問題でよく言われる「銃が人を殺すのではなく,人が(銃を使って)人を殺すのだ」というのも例としては違うよなと思いますが,法の上で罪に問われるのは間違っていると思います。
例えば,Winnyではありませんが,
同様にP2P系の配信を行う「BitTorrent」というソフトウェアがあります。
これは,アメリカではWinny同様に著作権的に違法な使われ方をされていることでも問題になっているようですが,それとは別に,いくつかのデヴェロッパーがオンラインソフトウェアを効率よく配信するために利用しているそうです。
Lindows(米名 Linspire)が,この技術を使ってOSの配信を行ったのはニュースにも取り上げられていたので知っている人も多いかもしれません。
BitTorrent系の情報サイトを見ると,他にもゲームの体験版などの配信に利用されている例は多いようです。*2
BitTorrentは,P2P系の配信ソフトウェアとは言っても,アップロード,ダウンロードの仕様や,効率を重視するために匿名性が無い*3など,Winnyとは違う面も多いです。
まあ,Winnyの設計思想は,FreenetやWinMXから来ているようですし,技術的な面を除けば,違っていても当然かもしれませんが,このように有用な目的で実用されているP2P配信ソフトウェアもあります。
こういった話をしているからといって,「Winny」というソフトウェアを全面的に擁護するのかというとそうではありません。
「モラル(倫理)」が著作権を運用する上で重要であるなら,Winnyを世に公開する段に置いてもそれは言えるのではないでしょうか。
僕にも,Winnyがモラルに反していると断することはできません。
ただ,Winnyというソフトウェアは,モラルが問われかねない危うさを持ったソフトだとは感じるからです。
敢えて例を出すとすれば,「核技術」や「クローン技術」などのような物に近い印象でしょうか。
技術自体には罪はなくても,技術を行使する人間だけではなく,技術を開発する人間にとってもモラルを持つことは必要なはずです。
もちろん歴史的には,研究者としてのイデオロギーの下に確信犯として研究開発を推し進めた人も多くいます。
しかしそれは,常に是として受け入れられるわけではありません。
Winnyはソフトウェアであり,例として出した核やクローンのように直接に物理的な影響を及ぼす物ではありません。
ただ,情報社会は今,そしてこれからも大きく世に広まり,社会に浸透し続けています。
既に,一度でもネットワークに広がった情報は,容易にそれを削除することはできません。
遠からず,Bio Hazard ならぬ,「Infomation Hazard(情報災害)*4」という言葉が決して言い過ぎではない事が起きるやもしれません。
技術の開発者に対して,法で罪を問うのは間違っていると考えます。
しかし,モラルは問われることはあります。
そしていま,一見問題がないように見えるソフトウェアの開発者もモラルを問われる時代になったのかもしれません。
47氏の言葉は多くなく,その真意を推し量るのは難しいですが,彼ははたしてどうだったのでしょうか。
この雑感は,ここ2週間の間に見た多くのサイトの影響を受けたり,参考にしたりしています。
賛否(マスコミ以外のサイトで否はあまり見かけませんでしたが)に限らず,どのサイトも面白く読ませていただきました。
対象が多すぎるのと,だらだらとリンクを辿って閲覧したこともあって,トラックバックもままなりませんが,この場を借りて感謝いたします。
この場じゃあ,意味は薄いんだけど(w