ひであ観察日誌

ひであの観察日誌です。自転車やペンギン、同人サークル「春うらら」の告知もこちらでおこないます。

ロアルド・ダール 訳:柳瀬尚紀 「[http://d.hatena.ne.jp/asin/4566014118/sakuradyayato-22:title=チョコレート工場の秘密]」 <span class="bookoff">([http://d.hatena.ne.jp/asin/4566014118/sakuradyayato-22:title=ISBN:4566014118] 31)</span>

先ほど映画を見にいってきた「チャーリーとチョコレート工場」の原作。
これは,今年になって新たに訳された新訳らしいです。
訳者は僕が大好きな柳瀬尚紀氏。


Amazon.comのレビューを読むと,名前をいじくりすぎてて雰囲気が壊れた…と非難している方が多いようですが,はっきり言って的はずれもいい所。
中高と6年かけて英語を学んでネイティブスピーカーとなった多く(?)の日本人のみなさんなら良いかもしれませんが,この本は本来,児童書です。
「名」に含まれる意味も含めて日本語に訳するのはごく当たり前のことでしょう。


例えば,
工場へ招待された子供の一人 「ベルーカ(いぼ)・ソルト(しお)」「イボダラーケ・ショッパー」に,ワンカの味を盗んだ店のひとつ「スラグ(なめくじ)ワース(価値)」「ナメクジナミー」に訳されることで雰囲気が壊れたと言っている人は,逆に原作を理解せずに勝手に美化していただけではないでしょうか。


もちろん翻訳にベストというのは存在しません。
ただ,英国人が英語で読んだ時と同じイメージで,日本人が日本語で読める。
僕はそういった訳が大好きです。
そして,この訳は柳瀬氏が全身全霊を持ってそれを体現せんとした訳だと思います。
…まぁ,たまにやりすぎる時もありますが(笑)


翻訳話ばかりになってしまいましたが,内容は基本的に映画の通り(逆)
どちらかというと映画の方が,より原作に深みを与える内容に。
その深みは,逆に原作にあるワンカ氏に対する物足りなさを見事に補っています。
これは監督のティム・バートンや,主演のジョニー・デップが,この原作にもつ愛の深さがなせる技なのかもしれませんw


映画との名前の違いに戸惑うかもしれませんが,良い訳です。
子供向けとしては,ちょっと言葉遣いが難しい感もありますが,難しい漢字にはルビもふってありますし *1 わからなければ辞書を引けばいいのです(by 柳瀬尚紀*2


そういえば,映画以上にチャーリーが何もしていないような気が…(笑)

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*1:できれば全ての漢字にルビをふって欲しかった。

*2:それでも氏の訳であるアリスなんかは,かなり子供には難しいかも。