ジャーナリストの視点から視た,火星探査機「のぞみ」の全てを描いた本。
予算も経験も少ない中,どうにかして探査機を火星へ届けようとするスタッフの奮闘ぶりが涙ぐましいです。
予算でいうと,アメリカは「のぞみ」が打ち上げられた1998年以降だけでも,既に5機の探査機を火星へ送っている(内2機失敗),その規模は「のぞみ」よりも遙かに大きい。
経験で言うと,アメリカは1998年までも含めると16機の探査機(内5機失敗)を送り込んでいたりするから比べようもない。
実際には,その目的や規模で難易度も変わるでしょうし,根本的な宇宙開発技術の差もあるのでそのまま比べるような話ではないでしょう。
ただこの本を読むと,「のぞみ」はただ5年間宇宙空間を彷徨って失敗したのではなく,今後の日本の宇宙開発に意義のある多くの経験を残していったことがわかります。
恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―
posted with amazlet on 05.11.24