深田恭子主演の同名TVドラマ「富豪刑事」の原作小説。
ドラマの方の第一話を観て,原作を読んでみたいと思っていた所に,朝の出かけにいま読んでいる本を持って出るのを忘れたので,これ幸いと駅前の本屋で買って読んでみました。
この原作には四編の話が収録されています。
ドラマの方は結局,第一話を観ただけですが,これが小説でも第一話。
公式サイトでざっと調べてみるとこの他にもドラマの三,四,五話がそれぞれ小説の話に対応しているようです。
話を読んでみると,ちょっとぎこちない。
第一話だけを比べてみると,後からまとめた分,ドラマの方がすっきりまとまっています。
ただこの小説,刑事物の推理小説というより,『筒井康隆が刑事物の推理小説を書いている』ということ自体をネタにして遊んでいる推理小説という感じだったりします。
なにせ,
なにぶんこの作者,本格推理など書くのは初めてのことですから,文中へ伏線をたくみにまぎれこませるなどといった芸当はとてもできぬらしくて…
などとぶっちゃけた台詞(地の文じゃなくて台詞)が出てくる始末。
それを考えるとストーリーがすっきりまとまっている必要性はそれほどなく,実際,はじめはぎこちなく感じていましたが,読み終わる頃にはこういった書き方もアリだよなと得心していました。
それでもいちおう,ぬるめとはいえ推理小説としての体裁も整えています。
薄目の本なので軽く読むのには悪くないかと。