先に告白しておきましょう。
この作品が,どういった内容の作品であるかをさっぱり忘れてて
「まだ読んでいないメジャータイトル」
という理由だけで読み始めました。
読み始めの第一印象は,「タイトルのイメージにだまされた〜!」
それを過ぎて 50頁目くらいまで感想は,「口語体がむっちゃくちゃ読みにくい〜!」
さらに口語表現に慣れた後は,最後までなかなかに興味深く読むことができました。
さすがにこの年になって,主人公のホールデンに自らの想いとの共感をすることはできません。
でも,「若くて甘ちゃん」だなあと切って捨てる気にもなれません。
だって,若くて甘ちゃんだった頃なんて僕も含めて誰にだってあったわけです。
確かに主人公のホールデンは,ちょっと突出していたかもしれませんが,それをどう自己表現していたか,押さえ込んでしていなかったかくらいのもんじゃないでしょうか。
あと面白かったのが,この小説が 50年以上前に書かれたということです。
文章からかいま見ることができる風俗からは時代を感じさせられるのですが,その反面,ホールデンの心情表現にはさして古さを感じないんです。
後書きにもありましたが,なにか若人の心情として普遍的な物を表現できているのかもしれません。